日本バングラデシュ協会 メール・マガジン(57号)2019年4月14日

日本バングラデシュ協会の皆様へ

■目次
1)『日バ協会メルマガ57号会長メッセージ
―バングラデシュ・ソフトウエア―・エクスポに出席して―』
会長 堀口松城
2)『バングラデシュで働いて』
プラント・メンテナンス株式会社
取締役営業本部長 村上美代子
3)『 Unsung Women Nation Builders Awards 2019 』
NPO ハンガーフリーワールド会員 小林博子
4)『早川崇は何故、バングラデシュに心血を注いだのか?』(連載その4:最終回)
-『 心と心の触れあい 』―
監事 早川 鎭
理事 太田清和
5)イベント、講演会の案内
6)『事務連絡』

■1)『日バ協会メルマガ57号会長メッセージ
―バングラデシュ・ソフトウエア―・エクスポに出席して―』
会長 堀口松城

去る3月19日から21日まで、「バングラデシュ・ソフトウエア・情報サービス協会」
(BASIS)の主催による「SOFT・EXPO」がダッカの国際会議場で開催されました。そのう
ち20日が「日本デー」とされ、そこで日バ関係についてスピーチを依頼されたので行っ
てきました。
2年半ぶりに見るダッカは、これ迄の訪問で見た変化よりもさらに目覚ましく発展し
、特に道路が拡充・整備され、交差点では放射状に結ばれたいくつもの高架道路(フラ
イ・オーバー)が、何本もの道路を結んだ立体交差の中で車がスムーズに流れ、さらに
一部ながら、中央分離帯に樹木が植えられて景観を添えていました。そして、一般道路
はどこも乗用車と二輪車(バイク)であふれており、その結果でしょうか、今回私がホテ
ルから会場まで通った道路からは、なんとリキシャが1台残らず姿を消していました。
リキシャが1台もいないバングラデシュは、私の知っているバングラデシュではない!
と叫びたくなる光景でした。そしてまた、リキシャワラたちは今どうやって生計を立て
ているのか気になりましたが、後刻、彼らの多くは、バイクで、リキシャ同様に、お客
の求める行き先に運び届けることで収入を得ていると聞き、少し安心しました。少しと
いうのは、私と同様の年寄りには、バイクの運転は大丈夫だろうかと、気になったため
です。
ところで、このBASISという協会は、1997年、バングラデシュにおけるソフトウエア
及びI Tサービスの発展のため設立されたもので、現在1,100以上の数の関連企業が参加
している由です。10年前から「BASIS・SOFT・ EXPO」を開催し、バングラデシュのソフ
トウエア産業の優れた能力を展示し、潜在的顧客とI T及びI T関連企業とを一堂に集め、
世界中の関係企業と経験を分かち合いつつ、I T投資先適格国としてのバングラデシュ
を売り込むことを目標としている由です。
本年のSOFT・ EXPOの副題は「繁栄のための技術」であり、200社の国内、国外の企業
の参加と、20万人の観客を予想している由でした。
3月20日が「日本デー」とされ、私がスピーチを依頼されたのも、今年のEXPOにおけ
る日本に対する特別の期待を示すものであり、チーフ・ゲストとして挨拶されたティプ
・モンシ商業大臣も、日本に対するI T分野における協力と援助の拡大に対する要望を
述べておられました。
私からは以下の諸点を指摘しました。先ず、 私は2006年帰朝してから、ほぼ2年か2
年半ごとにバングラデシュを訪ねているが、そのたびにダッカの大きな発展と変化に驚
かされており、それだけに昨年4月、国連開発委員会によって、バングラデシュが最貧
国からの卒業要件を満たし、この状況が6年続けば最貧国リストから削除される旨認定
されたことを喜んでおり、バングラデシュ政府が2021年迄に中進国入りを果たすとの目
標も達成されるものと楽観している。
本EXPOが狙いとする、バングラデシュのI T関連企業と潜在的顧客を一堂に集め、協
力関係を支援するとの目標を私も大いに支持するものであり、その理由として以下の5
点を指摘したい。
第1に、バングラデシュの過去2年間の経済成長率は8%前後を記録しているが、バン
グラデシュのさらなる発展のためには、その生産性向上を図るべく、バングラデシュの
輸出の中のハイ・テク製品の割合を増やすことが重要であり、そのためにはI T及びI T
関連分野への外国投資が不可欠であること。
第2に、国内経済のさらなる成長のためには、成長に占めるイノベーションの比率を
高める必要があり、その実現のためには外国投資の誘致が重要であること。
第3に、バングラデシュ経済の持続的成長を図るためには、外国企業による国内直接
投資の拡大がどうしても必要であること。
第4に、一方で、最近のJETROの調査でも、バングラデシュに投資している日本の企業
の70%以上が、バングラデシュにおけるビジネス・チャンスと可能性を高く評価してお
り、これはアジア、オセアニア各国に進出している日本企業の中で最も高い評価となっ
ている。現時点におけるバングラデシュに進出している日本企業数の最新の数字は279
社であり、この数字は例えばミャンマーの438社に比し少ないものの、その伸び率は高
く、今後もI TやI T関係分野を含め、日本企業の進出が増えていくことが予想されてい
ること。
第5に、日バ両国間の新たな協力形態たる「宮崎モデル」と言われるI T分野における
日バ両国の協力関係に対する期待である。すなわち、 日本にはビジネス機会はあっ
てもI C T人材の不足が深刻であるのに対し、バングラデシュにはI C T人材は多数いる
がビジネス機会が不足している点で両国は補完関係にある。この点に着目した宮崎県が
、宮崎大学、JICAとともに「バングラデシュ・コンピュータ・カウンシル(BCC)」と連
携し、BCCが募集した100倍を超える応募者から選んだバングラデシュ研修生に対し、日
本語と日本のビジネス慣習に関する日バ両国での計6カ月の研修を行った後、日本企業
への就職を斡旋するプログラムを開始した。
この計画は2017年8月から開始され、第1期生から第4期生までの120名の研修卒業生を
雇用した日本企業は、宮崎に限らず、東京、名古屋、関西地区、北海道等各県に亘って
おり、これらの受け入れ企業側の研修卒業生に対する評価は非常に高いことから、今後
の拡大が予想され、本分野における日バ関係の大きな発展が期待されること。
結論として、今回のSOFT・EXPOは、上記諸点からも大変時宜を得たものであり、バン
グラデシュのI Tおよび関連分野の企業および潜在的カスタマーが一堂に集まり協力を
進めることで、本年のSOFT ・EXPOの副題である「繁栄のためのテクノロジー」が現実
のものとなるよう大いに期待したい旨述べておきました。
日本語を話せ、特別の技能を持った外国人の受け入れに大きく門戸を開いた今回の改
正入国管理法の後押しもあり、今後、日本に住むバングラデシュ人の数が増えていけば
、日本・バングラデシュ関係、さらには、 日バ協会の活動にも新しい時代の到来が予
感されます。


この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン