日本バングラデシュ協会 メール・マガジン(147) 2026年1月号 巻頭言:『バングラデシュ総選挙と経済連携協定の大筋合意』  日本バングラデシュ協会会長 渡辺正人

■目次  
■1)巻頭言:『バングラデシュ総選挙と経済連携協定の大筋合意』
                      日本バングラデシュ協会会長
                      渡辺正人
■2)寄稿:『Message』
                      H.E.Mr. Md. Daud Ali, Ambassador of Bangladesh to Japan
■3)寄稿:シリーズJICA第9回:『水の国と橋の物語』
                      JICAバングラデシュ事務所
                      所員 佐久間祥子
■4)寄稿:『バングラデシュにおけるジャマテ・イスラミの復権(後編)
     ――国際関係の変容――』
                      立教大学准教授
                      日下部尚徳
■5)『イベント情報』
■6)『事務連絡』
■7)『読者のひろば』
・メルマガ12月号の各寄稿への読者の感想をご紹介します。
・メルマガ寄稿への感想ほか、お気づきの点など、なんでもお寄せ下さい。
■8)『編集後記』

■1)巻頭言:『バングラデシュ総選挙と経済連携協定の大筋合意』
日本バングラデシュ協会会長
渡辺正人

 昨年12月、バングラデシュにかかわる重要な動きして、総選挙の日程が発表され、また、日バングラデシュ両国間の経済連携協定(EPA)に関する大筋合意が達成された。12月下旬までの動きに関し報道をもとに次のとおりご紹介したい。

1. 総選挙2月12日実施へ
12月11日、選挙管理委員会は次回の総選挙(国会議員選挙)を本年2月12日に実施すると発表した。一昨年7月~8月の大規模デモが引き金となりハシナ政権が崩壊しユヌス首席顧問が率いる暫定政権が発足した政変後、最初の国政選挙となる。後述する「7月憲章」に関する国民投票も同時に実施されることになった。
総選挙に関しては、政変直後から早期実施を主張してきた主要政党のBNP(バングラデシュ民族主義党)に対し、イスラム主義政党であるJI(ジャマティ・イスラミ)及び政変の起爆剤となった学生を中心に結成されたNCP(国民市民党)は包括的な改革を先行させるべきであると訴えてきた。紆余曲折を経て、政変一周年の昨年8月6日、ユヌス首席顧問は本年2月前半に総選挙を実施する旨明らかにしていた。
包括的な改革案に関しては、暫定政権の下、アワミ連盟などの政変前の連立与党を除く多数の政党の参加を得て審議され、昨年10月に「7月憲章」として取り纏められた。その内容は、比例代表制に基づく上院の創設を含めて憲法、議会、司法、選挙制度等の分野に跨るものである。国民投票において過半数の賛成が得られれば、新たに選出される議員により構成される国会において憲法改正に向けた作業が開始される。「7月憲章」には上述のBNP、JIを含む24の政党が署名したが、学生を中心とするNCPは「7月憲章」に法的な基盤がない限り署名しないと表明している。
投票日の発表後、各党の選挙活動は本格化し候補者擁立の作業を進めている。一部では党公認を巡り軋轢や衝突が発生するなどの混乱も見られた。
12日には一昨年の政変の際の大規模デモで注目された青年指導者がダッカで銃撃され、当局によりシンガポールの病院に緊急搬送された。立候補を予定していたこの指導者の死去が18日に伝わると、犯人が逮捕されていないことに抗議するデモがダッカなどで広がり、大手紙2社の社屋が放火されたが、その後、抗議運動は沈静化した。
25日にはBNPのタリク・ラーマン党首代行が、選挙戦を率いるため、事実上の亡命先であった英国から約17年ぶりに帰国した。
バングラデシュにおける民主主義の定着にとり重要なステップとなる次回の総選挙及び国民投票が平穏な環境下において混乱なく実施され、暫定政権から新政権への権力の移譲がスムーズに行われることを願わずにはいられない。

2. 日本バングラデシュ経済連携協定の大筋合意
 12月22日、茂木敏充外務大臣がシェイク・ボシール・ウッディン商務顧問(閣僚級)と電話会談を行い、2024年3月に交渉が開始された両国間の経済連携協定(EPA)交渉に関して大筋合意に至ったことを確認した。本協定は、バングラデシュにとり初の経済連携協定となり、日本は貿易ルール面で他国に先んじることとなった。日本にとっては、後発開発途上国(LDC)との最初の経済連携協定であり、今後のグローバルサウスとの通商交渉の拡大、及びルールに基づく自由で公正な経済秩序の実現にとり重要なステップになる。
ジェトロなどによれば、本協定の締結により、日本からバングラデシュ市場へのアクセスに関しては、高関税が課されている鉄鋼、自動車部品、織物、電子部品などを含む多くの鉱工業品目について、即時~協定署名後18年以内に関税が撤廃されることになった。乗用車(完成車)については、日本は将来にわたって他国に劣後しない特恵待遇を受けることになる。農林水産品に関しても、牛肉、ブリ、タイ、ホタテ、リンゴ、ブドウ、緑茶、しょうゆなどについて即時~同18年以内に関税が撤廃されることになった。日本市場へのアクセスに関しては、日本の重要品目を関税削減・撤廃の対象から除外しつつ、多くの品目で即時または段階的に撤廃するとしており、LDCのバングラデシュに対する配慮も見られる。
 本協定の締結により、貿易・投資の拡大を始めとする両国間の経済関係がさらに拡大することを期待したい。
 日本バングラデシュ協会の企業委員会は、本協定交渉の立ち上げ直後から、外務省、経済産業省等との間でEPAに関連する諸課題について意見交換を行った。また、JICA国別研修に参加するバングラデシュ商務省他EPA関係省庁職員との会合に参加し、進出日本企業が直面する諸課題について企業の生の声をバングラデシュ側に伝達した。
日バ協会としては、今後とも経済ビジネス関係の発展を含め両国間の交流と相互理解の増進に貢献して参りたい。2026年が日本とバングラデシュ両国にとり実り多き年となることを心から願いたい。(12月26日記)

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