日本バングラデシュ協会 メール・マガジン(44号) 2018年3月24日

日本バングラデシュ協会の皆様へ

■目次
1)『 日本バングラデシュ協会メルマガ44号会長メッセージ
―「ダッカ国際詩人サミット」での日本人詩人の受賞― 』会長: 堀口松城
2)『「エクシェ・フェブラリー」の式典に参加して』      理事:渡辺一弘
3)『第5回国際ベンガル学会
(ジャハンギルノゴル大学、2018年1月25-28日)の報告』 理事:外川昌彦
4)『私とバングラデシュ 』                  会員:小林博子
5)セミナー『バングラデシュのLDC卒業と更なる発展への挑戦』 3月30日(金)
6)『事務連絡』

■1)『 日本バングラデシュ協会メルマガ44号会長メッセージ
―「ダッカ国際詩人サミット」での日本人詩人の受賞― 』会長: 堀口松城

去る1月30日から2月3日までダッカで開催された第4回「国際詩人サミット」におい
て、詩人で朗唱家の天童大人さんが「コトーク(語り部)賞」を受賞されました。同
サミットは、バングラデシュ詩人協会が2015年から始め、第4回になる今年は、日本
のほか、米、英、エジプト、台湾、コロンビアなどから6名の詩人が同文学賞を受賞
しました。このサミットには、バングラデシュからもアミヌル・ラーマン、アサド・
チョードリ等著名な詩人も参加し、ダッカ市内各地で詩の朗唱が行われました。

バングラデシュの近年の経済的発展ぶりは目覚ましいものがありますが、未だ必ず
しも豊かとは言えないバングラデシュが、このような国際詩人サミットをもう5回も
開催していることを知って嬉しくなり、早速、天童さんに面会を求め、いろいろお話
を伺ってきました。
天童さんは、1984年、長崎県対馬の和多都美(わたつみ)神社の一の鳥居に立って
「聲」を奉納すると、5つの鳥居を貫いて250メートル離れた本殿へ、そしてまた湾全
体へ響き渡る古代からの「聲の道」を開き、以来「聲の奉納」を四半世紀続けてこら
れたことで知られています。
また、十数年前から仲間の詩人とともに、東京をいつでも詩人の肉声で詩を聞ける
街にする「詩人の肉声とコトバとを聴く」プロジェクト(Projet 「La Voix des
Poetes」)を進めてこられ、この肉聲の復権を目指す「目の言葉」から「耳のコトバ」
へ、との運動は、日本の詩人・作家等の声の力を高め、参加者の「耳のコトバ」を育
て、日本語を世界に示すことを狙いとしている由です。
詩は朗読して初めて真価を持ち、また、詩を作った後、声を出して読むと、いろい
ろ直すところが出てくるとおっしゃっていましたが、お話しを聞いていると、詩は本
来そう言うものかもしれないと思われてきました。
国際的にも2002年、イタリア・ヴェローナでの春の詩祭で聲を奉納され、その後
も、イラクでの第二回バビロン文化芸術祭や、テヘランでの国際詩祭、ソウルでの韓・
中・日 国際詩祭などにも招待、参加されて「声を撃ち込んで」きたそうです。
このような実績の上に、昨年のクリスマス・イブにダッカの詩人アミヌル・ラー
マン氏から、突然、詩作品5編と写真・略歴を送れとの連絡が入り、翌日、あと10編、
詩を送れと言ってきた後に、「ダッカ国際詩人サミット2018」への招待状が届いた由
ですが、ダッカ滞在中は、多くの機会にマイクを使わずに肉声で日本語をダッカの宙
(そら)に撃ち込んでこられたそうです。
天童さんは、このサミットに参加し、詩、文学に対するバングラデシュの人々のエ
ネルギーのすごさを感じることができたが、ダッカの熱気はテヘランのように地底か
らの熱気ではなく、人のエネルギーであると分析しつつ、日本は確かに小ぎれいには
なったが、このようなエネルギーは失われ、また、詩の様な目に見えないものにあま
り協賛や助成をしなくなっていることを寂しがっておられました。
私からは、実に多数のバングラデシュ人が詩に対する特別の思いを有しているが、
それは彼らが、ベンガルの風土の中で1年を春夏秋冬に早春と梅雨を加えて六つの季
節に分けながら、六つの季節とそれぞれの季節の移り変わりに対して抱く特別の思い
が、自然の観察を繊細なものにしているためではないかとの見方を天童さんにお伝え
しておきました。バングラデシュの人達がこれからも詩を大事にされ、詩に対する想
いを薄れさせつつある日本人に、時折でも思い出させてくれることを願っています。

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