日本バングラデシュ協会 メール・マガジン115号(2023年5月号) 巻頭言:『第10回社員総会を前にして~~ハシナ首相の日本公式訪問について~~』 会長 渡邊正人

日本バングラデシュ協会の皆様へ
■目次
■1)巻頭言:『第10回社員総会を前にして~~ハシナ首相の日本公式訪問について~~』
                                   会長 渡邊正人

■2)特別寄稿:「Leadership matters: beginning of a new journey together under “Strategic Partnership”」
                                   駐日バングラデシュ大使
                                   シャハブッディン・アーメド

■3)追悼寄稿『バングラディシュ親子紀行(前編)』
-イラストレーター故河野一平追悼(その1)-
                                   写真家
                                   河野鉄平

■4)寄稿『カラーチーに住む「ベンガリー」(前編):無国籍移民としての暮らし』
                                   東洋大学准教授
                                   理事/事務局次長 小野道子

■5)イベント、講演会
■6)事務連絡
■7)『読者のひろば』
 ・メルマガ4月号の各寄稿への読者の感想をご紹介します。
 ・メルマガ寄稿への感想ほか、お気づきの点など、なんでもお寄せ下さい。
■8)編集後記

■1)巻頭言:『第10回社員総会を前にして~~ハシナ首相の日本公式訪問について~~』
会長 渡邊正人

1. 本年の社員総会のご案内

本年の一般社団法人日本バングラデシュ協会の社員総会は、7月1日(土)午前11時から開催予定です。個人会員、法人会員の皆様には、5月下旬頃に社員総会のご案内が届くことになると思います。会場はTKP品川カンファレンスセンター高輪コートとなりますが、オンライン参加も可能です。
本稿でもご紹介しますが、4月下旬のシェイク・ハシナ首相の日本公式訪問を踏まえ、日本とバングラデシュとの関係が一層発展していく中での社員総会の開催となります。ご参加いただければありがたく思います。なお、昨年同様、社員総会後の7月1日昼にささやかな懇親会を開催する予定です。個人会員、法人会員の皆様のご参加を歓迎します。懇親会は対面参加のみになります。

2. シェイク・ハシナ首相の日本公式訪問

(1)訪問の概要
ハシナ首相は4月25日から28日まで日本を公式訪問しました。26日には天皇陛下がハシナ首相をご引見になりました。同日夕刻から夜にかけて、岸田総理とハシナ首相は、首脳会談とワーキングディナーに臨み、その後、「戦略的パートナーシップに関する日バングラデシュ共同声明」(以下、「共同声明」)が発表されました。
翌27日午前、ハシナ首相は、ジェトロ他が主催したバングラデシュ貿易投資サミットに出席しました。この会合には300名を超える民間経済関係者が出席し、ビジネス分野における11の合意文書が署名されました。ハシナ首相は日本企業に対し更なる対バングラデシュ投資を呼び掛けるスピーチを行い、バングラデシュが後発開発途上国(LDC)を卒業する2026年までに日本との間で経済連携協定を締結したいという強い意欲を表明しました。(別途、26日には、日バ協会役員を中心に、ハシナ首相に随行した経済特区庁長官を含む首相府、歳入庁等政府関係者との間で夕食意見交換会を開催しました。)
27日夕刻、同首相は、滞在先となった迎賓館において、独立戦争の時期にバングラデシュに対し貢献のあった近衞忠煇日本赤十字社名誉社長ら当時の関係者を顕彰する式典に出席しました。日本バングラデシュ協会の役員他関係者もこの式典に招かれ参列しました。

(2)「包括的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」への格上げ
2014年5月にハシナ首相が日本を訪問し、安倍総理(当時)との間で首脳会談を行った際には、両国関係を飛躍的に発展させるための「包括的パートナーシップ」を立ち上げることで両国は一致しました。今回の首脳会談では、「包括的パートナーシップ」を「戦略的パートナーシップ」に格上げすることが合意されました。近年におけるバングラデシュの著しい経済成長と日バ両国関係の緊密化に加え、南アジアと東南アジアの結節点に位置するバングラデシュの地政学的重要性に照らし、両国関係は「戦略的パートナーシップ」に相応しい関係にあります。
上述した「共同声明」には、ベンガル湾地域全体の連結性向上を目指す産業バリューチェーン構想、防衛装備品・技術移転協定の交渉開始、日バ経済連携協定に関する共同研究、鳴門市とナラヤンガンジ市との友好都市提携、ダッカ・成田間の直行便の再開、特定技能制度のための現地試験の開始、ロヒンギャ難民支援等々、現在進行中の協力及び新たな協力分野が反映されております。また、今回の首脳会談では、日バ両国の関係省庁間において、産業高度化パートナーシップ、知的財産に関する協力、防衛協力・交流、税関相互支援、食料・農業分野における協力、サイバーセキュリティ―を含む情報通信技術に関する協力、都市鉄道分野に関する協力を含めて8つの協力文書が合意されました。両国政府の実務者間の対話と交流が多方面において進展することが期待されます。

(3)注目点
岸田総理は、3月のインド世界問題評議会における政策スピーチにおいて、インド北東部における未発掘のポテンシャルに着目し、この地域全体の成長を促すため、ベンガル湾・インド北東部の産業バリューチェーン構想を、インドやバングラデシュと共に協力して推進していきたいと表明しております。日本がアセアン諸国との協力において重視してきた取り組みにハード・ソフト面での地域的連結性の強化があります。日バ両国が、2014年以来協力しているベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)構想と共に、今後はインド北東部をも含む「産業バリューチェーン構想」の具体化に向けた取り組みにも注目して行きたいと思います。
昨年来、世の中の関心はウクライナ紛争に集中しがちですが、ロヒンギャ難民問題は人道上の危機であるだけではなく、地域の不安定化に繋がり得る国際問題として忘れるわけにはいきません。バングラデシュはミャンマーから逃れてきた約100万人のロヒンギャ難民を国内のキャンプに受け入れてきましたが、ハシナ首相は、日本滞在中のNHKのインタヴューにおいて、ロヒンギャの人たちのミャンマーへの帰還に向けミャンマー軍と協議していることを明らかにしております。日バ両国は共同声明においてミャンマー情勢に対する懸念を表明しておりますが、日本としても、今後とも外交的な働きかけと支援を継続していく必要があると考えます。(以上4月30日記)

(以下ご参考)
「戦略的パートナーシップに関する日バングラデシュ共同声明(4月26日)」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100496993.pdf
「岸田総理大臣のインド世界問題評議会における政策スピーチ(3月20日)」
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0320speech.html
「ハシナ首相 “ロヒンギャの人たちの支援を”(NHKインタヴュー4月28日)」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230428/k10014051571000.html

 

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